民訴第2問

1.小問1について
(1) Zは、Yに対して補助参加(42条)している。補助参加は、他人間の訴訟につき利害関係を有する第三者が、一方当事者を補助して勝訴させることで自己の利益を守る訴訟参加形態である。
  参加人は、被参加人の行為と矛盾しない限り一切の訴訟行為ができるのが原則である(45条1項)。
(2) 本問では、Zは7月18日に控訴しているが、これは、Zに判決書が送達されてから二週間の不変期間内になされたものである(285条本文)。
しかし、被参加人Yに対しては、判決書は7月3日に送達されており、Yは不変期間内に控訴していない。このような場合にも、参加人は控訴することができるか。
 (3) 確かに、被参加人の行為と抵触する行為については、参加人はすることができない(45条2項)。
  しかし、法は、参加人が上訴することを認めている(45条1項)。それにもかかわらず、被参加人にとっての不変期間の経過で控訴できなくなるとすれば、参加人としては、常に被参加人にいつ判決書が届いたのかなどを確認しておかなければならないことになるが、それは参加人に酷である。
   45条1項により、被参加人の意思と関係なく、参加人の上訴が認められる以上、参加人の控訴期間については参加人が判決書の送達を受けてから二週間とみるべきである。
 (4) よって、Zの控訴は適法である。
2.小問2について
 (1) ZはYZ間の訴訟において主債務の存在を争うことができるか。XY間の訴訟にZが参加したことにより生じる「効力」(46条柱書)によって、主債務の存在を争うことはできなくなるのではないか。「効力」の意味が問題となる。
 (2) この点につき、「効力」を既判力(114条1項)として捉える見解がある。しかし、46条各号の制約を伴った既判力を認めるのは、本来一義的に内容が定まるべき既判力の本質に反し、妥当でない。
   思うに、「効力」は、参加人と被参加人が共同して訴訟追行したことによる禁反言に基づき認められる特殊の効力(参加的効力)であると解する。そして、参加的効力の根拠が禁反言にある以上、その効力は被参加人が敗訴した場合に、参加人と被参加人の間に及び、既判力と異なり理由中の判断に対しても及ぶと解する。
 (3) 本問では被参加人Yは敗訴しており、主債務の存在は、XのYに対する保証債権の存在の前提として認定されているはずである。
   よって、Zは主債務の存在を争えないのが原則である。
 (4) しかし、Yは、前訴において、主債務の存在を疑わしめる重要な証拠であってZの知らないものを所持していたにもかかわらず、その証拠提出を怠っていた。このような場合にも、Zが主債務の存在を争えないというのは酷ではないか。
   この点につき、46条4号は、被参加人が参加人のすることが出来ない訴訟行為を故意・過失でしなかった場合には参加的効力は生じないとする。これは、かかる場合には参加人と被参加人が共同で訴訟を追行したとはいえず、参加人に禁反言を問う前提を欠くからである。
   そして、証拠の提出自体は訴訟行為ではないが、証拠調べの申し立ては訴訟行為であり、参加人が知らない重要な証拠についての証拠についての証拠調べの申立は、参加人のすることのできない訴訟行為にあたるというべきである。
 (5) よって、Zは主債務の存在を争うことができる。
以上