ブログに取り調べの感想、修習生を厳重注意 長崎

 長崎市で実務修習をしている20代の司法修習生が、刑務所見学や取り調べの感想などをブログに書き込んでいた問題で、長崎県弁護士会は24日、この修習生を厳重に注意したと発表した。弁護士会は、書き込みそのものは修習生の規則に定めた守秘義務違反に当たらないとしたものの、国民の信頼と修習生の品位を損なったとしている。問題を調査した長崎地裁によると、修習生はブログで「工場で作業している受刑者たちは、なんだかロボットのよう」「はじめて取り調べやりました。相手はばあちゃん。(中略)おばあちゃん泣きまくり」など、修習の内容を書き込んでいた。(朝日新聞


 この問題、気にはなっていましたが、厳重注意で済みましたね。
 しかし、守秘義務に反しないのに、厳重注意が本当に必要だったのだろうかというのは気になる。守秘義務に反しないならば、彼の表現行為のどの部分が「修習生の品位を損なった」ところなのだろうか。僕は、幸運にも問題のブログ記事について全文を読む機会があった。上の記事のようなメディアの要約の仕方はやや恣意的にすぎるのではないかと思う。
 まず、ロボットのよう、という記事には続きがある。彼は、刑務所は厳しい生活実態にあると述べた上で、生活が緩くていいはずないが、刑務所は、受刑者を刑務所社会の中でしか生きていけない人間に育てているようにも感じると記していた。
 次に、おばあちゃん泣きまくり、の記事にももちろん続きがある。彼は、なんで20代の若者がおばあちゃんに説教しているのか、それに対してなんでおばあちゃんが泣いて謝っているのか…権力というか自分の力じゃない力を背後に感じた、と記していた。
 このような記事が、守秘義務違反に当たらないにもかかわらず、厳重注意を与えられるほど国民の信頼と修習生の品位を損なったというのは、僕には理解できない。上のような要約をするメディアの意図も理解できない。
 この事件から学んだこと。
 メディアを安直に信じるなかれ。
 僕の中でこれを体感できたことは大きい。