土地事業計画の処分性の論証

 本問行政計画の取消し訴訟が認められるためには、本問行政計画が「処分」(行訴3条2項)にあたることが必要である。そこで、土地区画整理事業の事業計画が「処分」にあたるかが問題となる。
               ↓この点につき
 「処分」とは、国又は公共団体の行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められている行為をいう。
               ↓そして
 土地区画整理事業の事業計画は、当該土地区画整理事業の基礎的事項を一般的抽象的に決定するものにすぎず、これにより国民の権利義務を直接に形成し又はその範囲を確定するものではないとも思える。
               ↓しかし
 当該事業計画が公告されると、一定の範囲の者は建築制限等の制限を受けることが具体的に予見でき、いったんその決定がされると、特段の事情の無い限り、その事業計画に定められたところに従って具体的な事業がそのまま進められ、その後の手続として施行地区内の宅地について換地処分が当然に行われることになる。
               ↓そうであれば
 施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、その法的地位に直接的な影響が生ずるものというべきである。
              ↓実質的にも
 後に換地処分について取消し訴訟で争うことが出来るとしても、その時点における取消しは公共の福祉に適合しないとして事情判決(行訴31条)がなされる可能性が高く、宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難いから、事業計画時点での取消し訴訟を認めるのが合理的である。
              ↓よって
 土地区画整理事業の事業計画は「処分」にあたると解すべきである。