参院選「1票の格差」、最高裁が「合憲」と判断

 議員1人当たりの有権者数の格差(1票の格差)が最大4・86倍だった2007年7月の参院選挙区選の定数配分は選挙権の平等を保障した憲法に違反するとして、東京都と神奈川県の有権者11人が、各都県の選挙管理委員会に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の上告審判決が30日、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)であった。
 大法廷は定数配分を合憲と判断、請求を棄却した1審・東京高裁判決を支持し、原告の上告を棄却した。一方、判決の多数意見は「格差縮小には選挙制度の仕組み自体の見直しが必要。国会が投票価値の平等の重要性を十分に踏まえ、速やかに検討することが望まれる」とも指摘した。
 合憲の結論は15人の裁判官のうち10人の多数意見。残る5人の裁判官は違憲の反対意見を述べた。
 参院選定数訴訟の大法廷判決は8回目だが、多数意見で、現行制度の仕組みの見直しの必要性に踏み込んだのは初めて。
 今回、対象となった07年参院選の前年には「4増4減」の定数是正が行われ、1票の格差は、04年参院選の最大5・13倍から4・86倍に縮小した。こうした経過を考慮して、大法廷は「定数配分が憲法に違反していたとは言えない」と判断した。しかし、当時の格差について、「なお大きな不平等があり、格差縮小が求められる」と指摘。「現行の制度を維持して定数を振り替えるだけでは格差の縮小は困難だ」と、抜本改革を求めた。
 違憲とした5人のうち、弁護士出身の宮川光治裁判官は「国会の無為により長く続いている1票の価値の大きなゆがみは、政治の活力を減殺している。将来、選挙を無効とすることもあり得る」と述べた。
 多数意見の裁判官からも厳しい個別意見があり、学者出身の藤田宙靖裁判官は「4増4減後の3年間、さらなる定数是正を検討したようには見えない」と、参院の姿勢を批判した。
 判決を受け、参院江田五月議長は、「指摘を重く受け止め、参院の意義を十分踏まえ、積極的に検討を進めていく」との談話を出した。(読売新聞)


 「こうした経過を考慮して」って面白いですよね。頑張ってれば違憲じゃないことの許容性になるという意味合いなんでしょうか。
 ともあれ、1票の格差については、最高裁ももう我慢の限界に来てるって感じですね。